岳南鉄道 DMVデモ走行視察
地方鉄道生き残りの究極の切り札としてJR北海道が精力を注いで実用化を進めているDual Mode Vehicle(DMV)。公共交通活性化方策としてDMV活用に期待を寄せる富士市において、1/14,21の2日間にわたり営業運転中の岳南鉄道のレールを使ってデモ走行が行われた。道外では初走行、しかも関東にもほど近い場所とあって、そのテの方面には注目を集めた。

はるばる津軽海峡を渡ってきたのは、端からみればただのマイクロバス。しかしこいつががスゴイのだ。

デモ走行は、岳南鉄道の沿線にある富士市公設市場から岳南原田駅まで道路を走行したあと、岳南原田駅構内でレールに乗り、公設市場付近の踏切まで「列車」として走行したあと、再びモードチェンジを行い、市場へ帰ってくるコース。


肝心のモードチェンジは、とにかくあっけないの一言に尽きて、この点はさすが。線路から道路へは、車輪を格納してハンドルを道路方向に切るだけ。写真を撮る間もなかった。道路から線路へも、今回はガイドウェイを用いて載線する方法が採られていたが、ガイドに沿わせて車両を線路の真上に持ってきたら、鉄車輪を下げて完了。実にシンプル。(原理としては、鉄道模型のリレーラーのようなもの、と言っていいのかな。)
ちなみにDMVを担当された乗務員さんは普段は富士急バスの運転士を務めている方。このデモ走行ではDMVは工事用車両扱いのため、特に新たな免許等の取得はしていないそう。

単独でみると、あまり感じないのだが、鉄道車両と大きさを比較すると、やはりその小振りさが伝わってくる。駅を通過する際も、ホームに立っていると車体を完全に見下ろす形になる。

しかしこの夢の乗り物。駅間で突如列車が消えてしまうという従来の鉄道信号システムの概念からすれば突拍子もないことをしでかしたり、車両が軽量のために踏切での列車検知ができないとか、絶対安全が至上命題の鉄道においては保安面にまだ課題を抱えている。このデモ走行でも、通常の営業運転ダイヤを維持したままその合間で線路閉鎖を行って運行されたほか、踏切も手動で動作させており、すべての駅と踏切に信号屋さんと、市の職員さん、警察さんが張り付いて、とにかく人海戦術で乗り切っていた。
4月にはいよいよ釧網本線で試験的営業運転が開始されることになっており、しばらくアツイ乗り物になりそうだ。
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