つい先日、仕事で調べ物をしていたところ、日本に「水陸両用バス」(正確には水陸両用車?)なるものが存在することを知った。これはその名のとおり、道路も水上も走れる「007」に出てくるような乗り物。そしてさらに調べていくと、6月16日から大阪でツアー運行が開始されるらしい。これは乗り物大好き人間としては黙っていられずに、さっそく申し込んでしまった。
ツアーは大阪の中心部・なんばパークスから桜之宮公園まで道路を走行し、そこから大川に「ダイブ」。遊覧を楽しんだあと、再び桜之宮公園から地上に上がり、大阪のメインストリート・御堂筋をなんばまで戻ってくるという約2時間のコース。ツアー詳細はこちら【旅王国ヒップスのページへリンク】
なんばパークスの駐車場に停まっていたバスを見た第一印象は、でかい。横に並んでいるハイデッカーバスと比べてみればほぼ同じ大きさなのだが、恐らくタイヤの小ささ(よくこれでこれだけ大きな車を支えられると思う)と、運転席の高さ(公道を走れる車のなかでは日本一の高さだそう)から、余計に大きく感じるのだろう。
~タラップを使って乗車(乗船!?)~
ごついバンパーとヘッドライトの装甲、背が高くて窓ガラスのない客室、そして国土交通省が推す「ようこそ!ジャパン」のペイントに、こいつがただならぬ乗り物であることは一目でわかる。ひとたび道路に出てみれば、存在感抜群のこのバスは道行く通行人の注目を浴びながら、一路大川を目指す。
~「遊覧船」のような客室~
走り出せば普通のバスなのだが、客室は遊覧船のような雰囲気で、とても奇妙な感覚を受ける。ちなみに種車はいすゞのトラックをアメリカで改造した車両なのだそうだが、運行にあたっては当然道路上と水上の両方の法規を満たす必要があるため、営業認可にあたっては苦労があった模様。これはDMVでも聞く話だ。運転手さんも、大型2種を持つバス会社の運転手さんと船舶免許を持つ船長さんの2人体制で乗務している。まさにDMVと同じスタイル。
こんなところをバスが通っていいのか、というような狭い路地から公園の敷地内の川べりへ到着。いよいよここから水中に「ダイブ」する。
~水陸両用バス 入水シーン(動画)~
バスは川のなかへと続いているスロープから入水する。坂の途中で一旦停止したのち、ブレーキを緩めたバスは重力に身を任せてザブーンと水の中へ・・・気持ちよく浮いた。そして程なくスクリューの回転音が聞こえ始め、普通の船に早変わり。確かにこれはスゴイ。
「船」はゆったりとしたスピードで大川の遊覧を約40分を楽しんだあと、桜之宮公園に戻り、さきほど入水したスロープから上陸することになる。今度は入水時と違い、川の向こう岸からフルスロットルで勢いを付けて、一気にスロープを駆け上がる。
~水陸両用バス 上陸シーン(動画)~
~陸に上がった「船」~
陸に上がると、水が滴る車体に水草などが付いているあたり、いままで水上を走ってきたんだなと実感する。しばしの休憩ののち、スクリューを固定して、再び道路を走行し、御堂筋を通りながらなんばパークスへ戻ってきた。
~車内から地上はこんな眺め~
道路から線路に乗ってしまうDMVも強烈な印象を受けたが、水にそのまま入ってしまうというのもインパクトとしてはかなり大きく、今回はDMVとはまた別の驚きがあった。この水陸両用バスを推進しているのは大阪水かいどう808というNPO法人で、これまでもこの車両を使って各地でデモ走行を続けてきたらしいが、今回の営業走行をきっかけに車両の増備の準備も進めているということであり、これからお目にかかる機会も増えるかもしれない。来月には東京にも来るそうなので、楽しみだ。
なお、大阪での運行は6月16日~30日までの期間限定で1日4便が設定されている。ただし、潮位の関係で運行できないときがあり、この日も第2,3便が運休になっていた。こんな運行設定も水陸両用バスならではである。
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