日帰りといっても、パリからの話。
フランスに来たものの、まだベルギーに行ったことがなかったので、この機会にパリからThalysで1時間30分の道のりにあるブリュッセル、そしてさらに1時間ほどローカル列車に揺られてブルージュまで日帰りで足をのばしてみることにして北駅へ向かった。
~吹き抜けが開放的な北駅メトロの改札~
~北駅外観~
~北駅ホーム~
Thalysの座席指定券は、ユーロパス(フランス&ベネルクスパス)を持っていても1等が25ユーロ(4,000円)もする。ちなみにボルドーへ行くTGVの指定券は1等で3ユーロだったので、思わず本当にパスホルダーの料金なのか窓口で確認してしまった。
~ブリュッセル行きThalys乗り場~
その代わり車内ではミールとドリンクサービスがある。サンドウィッチや菓子パンのなかから好きな物をチョイスする。しかし朝食はホテルで済ませていたので、知っていれば2等にしていたのだが・・・
パリから少し離れると、すぐに北海道を思わせる丘陵の畑やポプラの並木などの景色が広がってくる。そのなかを新幹線と同じように快適に疾走していたが、45分くらい経ったところで、いきなり止まってしまった。
そのうち「外に出ないでください」とか「状況が分かり次第案内します」というような、緊急用に録音された放送が流されたものの、あとは音沙汰なし。周りの乗客も平然としているし、そもそも車掌に詰め寄るだけの語学力もないので、大人しく待つ。
そのまましばらくすると、なんとこちらの列車が止まっている隣の線路をユーロスターが追い越していった。つまり複線の線路では反対側の線路も逆行運転できるシステムになっており、列車が立ち往生している区間は単線運行に即座に切り替えて対応するということか。これは日本では見られない芸当だ。
しかしこちらはなすすべもなく、隣の線路を走る列車を指をくわえてみているしかない。結局30分以上待たされて何の案内もなく再び動き出したものの、徐行したまま走り、本来は止まらないTGV-Haute Picardie駅で臨時停車してしまい、車掌さんが回ってきてchange trainとのこと。
つまるところ車両故障らしい。Thalysは2編成が連結されて運転されていたので、一度は前の編成に移動させられたりしたのだが、結局運転打ち切りになり、別の列車に乗り換えることになってしまった。
ホームに放り出されている間に、ユーロスターがゆっくりと通過したおかげで、普段は見られないThalysとEuroStarの競演が見られたことは怪我の功名である。
~国際高速列車の競演~
フランスのどこかから来た後続のTGVが止まり、これに乗り込むことになった。このTGVはリール止まりの編成とブリュッセル行きの編成が連結されていたが、しかしブリュッセル行きの編成は混雑して乗り切れない。とりあえずリール行きの編成に乗ってリールで乗り換えたらいい、と親切な乗客が教えてくれた。
もっともリールでも状況は変わらず、Thalysの乗務員はとにかくこれに乗れと詰め込もうとしていたが、駅員に次の列車がないか聞いたら30分くらい後にもブリュッセル行きがあるらしい。チケットも「問題ない」とのことだったので、リールで一休みして後続の列車にすることにした。
~Lille Europe駅にて~
そして来たのはユーロスター。本来ならこの列車も指定券が必要だが、入口の車掌にThalysがトラブった旨を伝えたら、いいよ!とのことで1等車に招き入れてもらいやっと安心。パリからブリュッセルへ行くのに、本来なら乗れないユーロスターまで乗車できたのも、貴重といえば貴重な体験である。
結局ブリュッセルまでの4時間かかってしまい、帰りの列車の時間もあり、結局肝心のベルギーはブルージュどころか、ブリュッセルでさえ観光時間はわずか1時間半。グランプラスでチョコレートワッフルをかじっただけで帰る羽目になってしまったが、ハプニングを楽しめる1日ではあった。
~ブリュッセル南駅~
~特徴的なベルギー国鉄の車両~
~グランプラス~
※あたかも調子よく書いてますが、現実にはフランス語は全くお手上げ、つなたい英語力とそれを補う想像力、周りの人の動きを見る怪しげな洞察力で対応するのは非常に不安でした。Thalysの乗務員はこちらが困っていても無愛想で感じが悪かったのですが(乗り切れない乗客を尻目に、自分たちは業務用のドアからさっさと乗り込んだり、1等車に席を構えて歓談しているような始末)、リール駅のSNCFの駅員さんや通りすがりの乗客の方々が親切にしてくれて救われました。
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