大人の社会科見学~黒部ルート見学会のたび④~
ここの会議室で黒部における発電の仕組みや工事の経緯の説明を改めて受けます。
黒部ダムというと、あのダムの下で電気をつくっているように思ってしまいますが、実際に電気を起こしているのはダムから10kmも離れた地下深くにつくられたこの発電所。ダムからここまで送水管で水を落として、さらにその水は下流の発電所に順繰りに回されて、何度も再利用されているとのことです。
時節柄電気のこと、ことに関電さんのお話ですから、聞く方も自然と聞き入ってしまいます。ただ、会社としてはいろいろあるでしょうが、関係者が黒部にかける思いに関しては本当に脱帽する思いですし、現場で働いている方は一生懸命です。我々にも大変親切に対応して頂き、大変だなと思うばかりでした。
そして、発電機のある吹き抜けへ。
体育館のようながらんどうの空間に、4つのパンケーキのような物体がちょこんと並んでいるだけの空間です。いささか拍子抜けですが、発電機の大きな本体が床下に隠れており、そこで水力で回されたタービンにより強力な電力が生み出されているのです。
しかし、何度も言うようですが、ここは山の中。そしてスケール感がおかしい。こんな構造物がもう50年近くも前に完成していたかと思うと、エヴァンゲリオンのジオフロントだって、そのうち現実のものになったっておかしくないような気がしてきます。いや、それくらい当時の技術力はすごいと改めて思いました。
コントロールルームや、下のフロアで猛回転している水車と発電機をつなぐシャフトを見せて頂いたりしながら、発電所の見学は終了。
そして最後の大物、ケーブルカーの大型版、インクラインに乗車となります。トンネルの巨大さにそのスケールがおわかりになりますか?
急傾斜のコンクリートのトンネルがひたすら続いている様は、これまたエヴァの射出口とかカートレインなどを思い起こさせます。
ケーブルカーと同様に釣瓶式になっており、途中でもう1台の車両とすれ違います。向こう側の車両には黒部ダム側からの見学者が乗っており、一瞬の出会い。
乗車時間は20分に及ぶことから、途中で中島みゆきの紅白出場DVDが上映されました。これ、私も生で見てましたから懐かしい映像でした。しかし歌詞の間違えをこうも後世までひっぱられるとはちょっとお気の毒です・・・。自分のコンサートでさえクチパクだったり、モニターで歌詞を出したりする歌手も当たり前なのにねwww
インクラインを降りると、いよいよラストスパート。送水管に沿って10kmに及んで伸びるトンネルをバスで黒部ダムへ向かいます。
ここでも途中、樽沢の横坑で小休止。
バスを降りて横道にそれて歩いていくと、まぶしい外の光が見えてきました。
正面に剣岳。これが見られる日はなかなかないとのことで、この日も最初は雲に覆われていましたが、一瞬サーッと雲が割れてその姿を表しました。
最後にこんな思わぬサプライズがありつつ、バスはトンネルの突き当たりに到着。
正面は扇沢方面へのトロリーバスが通っているトンネル。遮断機で関係者専用の道路と明確に区別されています。
以上で見学コースは終了。
トロリーバスの駅で一団は解散となり、展望台への階段を上ると、そこはたくさんの観光客が記念写真を撮っているよく見る黒部ダムの光景。まるで異次元の世界から戻ってきたような感覚を覚えました。
ようやく黒部ダムに到着したという開放感とともに、この山の中で繰り広げられている日常、そして私たちが普段当たり前に使っている電気を生み出すために働いている技術屋さんには、改めて素直に感服せずにはいられないのでした。
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